[ 銘柄分析 ] フット・ロッカー (FL)

北米と欧州を中心に出店している大手靴アパレルチェーン。
当社を表現するには、「成長」というより「変貌」という言葉の方が適切かもしれない。
2010年当時、当社は業績面でまだ何の変哲もない運動靴販売チェーンだった。しかし、2014年度のアニュアルレポートは、そんな平凡な企業が5年間で超優良企業に変貌していく様を雄弁に語ってくれる。この間の業績ハイライトを確認してみよう。

売上高、売上高利益率、ROA、ROE、全てが綺麗な右肩上がりを示している。利益額と利益率がともにこれほど美しく増加していくのは、色々な会社の財務諸表を見てきたがあまり記憶がない。成長と効率改善が同時に行われたということだが、重要な点は、これが大量出店によってもたらされた結果ではないということだ。


【10~14年度における出退店数の推移】
 2010年 : 出店43 退店117
 2011年 : 出店70 退店127
 2012年 : 出店85 退店119
 2013年 : 出店82 退店137
 2014年 : 出店86 退店136
 5年累計 : 出店366 退店636(270減)
 2014年度末店舗数 3,423


売上があれだけの伸びを記録したのに、店舗数は毎年減少している。物量面からみれば、当社の主要戦略はスクラップ&ビルドだったと言える。不採算店の閉鎖と効率的な新規出店という、ある意味ありふれた戦略が、一つの会社を業績面で別次元の存在に変貌させる効果があることを、これらの数値は教えてくれる。

15年7月現在、時価総額は94億ドル、予想PERは17倍。
ABCマートは、時価総額45億ドル、予想PER20倍。こちらもまだ成長している。
甲乙つけがたいが、私は当社を推したい。単純にPERが低いというのもあるし、効率改善による成長という図式は勢い任せでないため息切れしにくく、今後も継続する可能性が高いと考えるからだ。

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