2017年4月22日土曜日

音と光と空気の映画7選

 決算で疲労困憊した時に観たい音と光と空気が魅力の映画7選。マイベストではないものの、すべてお気に入りの映画である。気恥ずかしいので紹介文はなしにして、予告編を貼り付けるのみとさせてほしい。


ソナチネ(北野武)



シルビアのいる街で(ホセ・ルイス・ゲリン)



エレファント(ガス・ヴァン・サント)



5つ数えれば君の夢(山戸結希)



ゴダールの決別(ジャン=リュック・ゴダール)



デス・プルーフ(クエンティン・タランティーノ)


欲望のバージニア(ジョン・ヒルコート)

2017年4月16日日曜日

リスクプレミアムを信じてる

昇進、課員純減、引き継ぎなどの混乱の中で経理として本決算を迎えており、ブログは何か手抜き記事がいいなと思っていたら、ちょうどいい具合に株価が1年ぶりの調整局面を迎えたようで、これを題材にしようと思いついた。株式投資ブロガーたるもの、今後の市場動向を予想してみるとか、「こんな下落で怯んではいけない」と強がってみるとか、やっぱりブルブル震えてみるとか、そういうエンターテイメント性に富んだ反応を読者に提供するのが責務というものだろう。そうだな、今あなたが何を考えているのか少し想像はつく。「格好つけのプレノンのことだから、"株価下落によって企業価値が損なわれるわけではないので、こんな調整など気にしないことだ"とか強がるに決まっている」と、こう考えているのだろう。近いけど、少し違うね。私は個別銘柄の分析記事なんかを投稿したりして、実際その銘柄に投資するような個別株投資家ではあるが、「(私が分析して購入した)企業の収益力・成長力を信じています」という近年増えてきた若い成長株投資家のような無邪気な心は一切持ち合わせていない。私が信じているのは企業ではなく、リスクプレミアムだ。見えないくらい小さい粒子となって市場に浮遊する人々の潜在的な恐怖心やリスク回避性向は、あらゆる企業の株価を債券などの無リスク資産と比較して低く抑える働きをする。低い株価は投資リターンの最大の源泉だ。株式投資によるリターンは成長ではなく、株価を過少評価しようとする慢性的な圧力によってもたらされるということを私は十分に理解している。適切な資本政策を持ってさえいる企業に適度に分散しておけば、成長力があろうとなかろうと私は確実に億万長者になるだろう。株式投資家の本質とはストックピッカーではなく、市場に蔓延する恐怖を拾い集め、それに対応する報酬を頂戴することにあるというのが私の考えだ。だから私は個別株投資家でありながら、信条的には極めてインデックス投資家に近い。そんな私は何故インデックスに投資しないのか。それは私が個別株投資を通じて個別企業の癖や財務分析、業界構造などを絶え間なく勉強し続けていきたいからだ。結果的にその勉強の成果は将来的に給与増という形で私に報いてくれるだろう。

2017年4月10日月曜日

ライフネット生命で保険会社を学ぶ

 社長のメディア露出度が高いのでご存知の方も多いかと思われるライフネット生命。インターネット専業の生命保険会社として頑張っている。保険という特殊な業界で非常に若い企業のため、この会社の分析は業界の収益構造をわかりやすく解き明かしてくれる。では早速行ってみよう。


 経常収益が経常費用を下回っているため、経常損益は赤字基調だということが読み取れる。経常収益の大半を占めるのは保険料収入(5行目)だ。収益の95%以上を占めている。そりゃ保険会社だからね。保険料収入は保険契約金額(2行目)の大きさに依存する。8行目の「保険料/保険契約金額」を確認すると、概ね総契約額の0.4%程度が年間の保険料収益になるようだ。黒字化のためにはどんどん契約を取って契約残高を積み上げる必要がある。しかし、新規契約件数(1行目)、保険契約金額増加率(9行目)を見ると、ここ数年は成長率が顕著に伸び悩んでいる。新興保険会社ライフネット生命の夢はそろそろ潰えてしまうのだろうか。そう考えるのは早計だ。ここで保険業界の巨人、第一生命の損益計算書を確認しよう。

 ライフネット生命との違いで目を引くのが、経常収益に占める資産運用収益だ。ライフネットが経常収益の5%未満だったのに対し、第一生命は20%弱もある。第一生命の経常損益が4,182億円、資産運用収益が1兆3,449億円であることを考えると、第一生命も運用収益なしには経常損失を計上していることになる。資産運用収益の源泉とは言うまでもなく運用資産で、保険会社にとっての運用資産は被保険者の支払保険金プールからなる。BSの負債勘定にある"保険契約準備金"、バフェットがいう"フロート"がそれだ。第一生命の場合、44兆円ある。
 さて、ライフネット生命の"フロート"だが、最初の数値表の3行目に示している。直近で166億円。フロートが年間保険料収入の何倍あるかというと、第一生命の7.9倍に対し、ライフネットは1.7倍。あまりにも小さく、だからこそ当社の資産運用収益はまだほとんどないに等しい。
 フロートの多寡は保険会社の強さを体現するほど重要なものだ。だがある部分でこれは時間が解決してくれる。ライフネット生命のような若い保険契約ばかりの企業のフロートは、仮に新規契約がゼロであったとしても既存契約者の保険料支払いによって増え続ける。数十年に及ぶ長い年月をかけて、徐々に大きくしていく類の資産(BS的には負債)なのだ。保険業界への新規参入が非常に難しいと言われる所以がここにある。

 もちろん当社への投資はなかなか推奨しづらいが、仮に興味があるのなら注意すべき点がある。増資と金利だ。運用資産原資が喉から手が出るほど欲しいはずの当社が増資に踏み切る可能性はそこらの成長企業よりよほど大きいはずだし、そしてその増資は低リスク資産への運用に回されることを考えると資本コストを稼ぎ出せずに株主利益を棄損するだろう。金利については当社に限らず保険会社にとっては高い方がいい。運用資産の大半が国債などの利付債だからだ。

 被保険者としての立場としては私は保険を好きではないが、"仕上がった"保険会社のビジネスは非常に美味しく、株主を魅了してやまない。

2017年4月5日水曜日

投資家準備期間中の新入社員に捧ぐ

新入社員の皆様、おめでとうございます。
若いのにこんなブログを読まれているくらいですから、きっとあなたはお金に興味があって、もしかしたら"意識高い"新卒なのかもしれません。僭越ながら、会社員投資家の先輩としてささやかなアドバイスを送らせていただこうと思います。「投資とお金」に限定した話ですので、暑苦しがらずに聞いてください。並びは優先度の高い順です。


① 心身ともに健康で、楽しく仕事に没頭すべし

とりあえず投資に対する情熱は抑えて、新しい環境に慣れましょうか。
給与という定期収入は個人投資家にとってかけがえのないものです。あなたが今後稼ぎ出すキャッシュフローは数億円に及ぶでしょう。これを途絶させてはなりません。というわけで、現時点でアーリーリタイアをオプションに入れない方がいい。仕事を続けるために心身の健康を維持し、仕事への興味を持ち続け、職場での居場所を確保することに努めましょう。これらは言うまでもなく労働を継続し続ける目的の役に立ちます。
規則正しい生活を心掛けましょう。与えられた仕事の良いところを探しましょう。無駄な仕事など存在しません。出世を目指して会社での生き残りをゲームのように仕立てあげるのも一興です。休日の草野球や飲み会へのお誘いなどへ気持ちよく参加して付き合いの良い後輩を演じましょう。仕事が楽しくなるような環境を自分で作り、自己洗脳まで行うことが定期給与を苦痛なく受け取り続ける最善の方法です。職場での生き残り方については下記ブログを参照いただければより気持ちが引き締まるはずです。

残念な新卒のための生存手引書(実践編応用3 お目こぼししてもらう、敵を作らない)

要約すると、「部族の掟に従え」ということが書いてあります。大人は掟を無視する生意気な若者が嫌いなのです。


② 支出をコントロールすべし

初任給は税金や保険料が引かれれば驚くほど少ないはず。なけなしの手元残高から投資資金を捻出するため、支出抑制に努めましょう。会社絡みの交際費は削りすぎるべきではないというのは前段で述べた通りです。最初に乗り越えるべき関門は保険の勧誘です。構内にまで出入りしてくる保険外交員の話はすべて聞き流してください。保険は分の悪い賭け事ですし、あなたが今すぐ死んでも金銭面で困る人はいません(私が新卒で入社した会社では、入社式の日には同じグループの保険会社の外交員が契約を迫ってきたし、工場に配属された後も現地の外交員にスナックへ呼び出されて接待を受けたものです。男女問わず枕営業って本当にあるかもしれないなあと思いました)。学割期間が終了するキャリア携帯を解約して格安SIMへ乗り換えましょう。僻地でない限り車を買うのはよしましょう(車なんてなくても異性にモテる方法はたくさんありますって)。趣味にお金をかけすぎていませんか(海外旅行があなたの見識を広げているというのは単なる幻想です。収集癖も年とともに落ち着くので今止めても問題ないでしょう)。寮が利用できるなら積極的に入居しましょう。住居費が浮くだけでなく、①の戦略にもきっと合致します(恋人は連れ込めないけど、その都度ホテルを利用する方が総合的にはお得です)。初年度から年間100万円以上のペースでお金を貯めることを目指しましょう。なに、案外簡単にできますよ。


③ 個人投資家ブログから距離を置くべし

ブログは例えその内容が示唆に富んでいるとしても、個人的な投資経験に基づく意見や主張は多くの場合、投資初心者にとって害となります。生まれたばかりの雛は最初に目にしたものを親と思い込んでしまいます。それが本当に親鳥ならいいのですが、鳥に似たオモチャだったりしたら投資家として取り返しのつかないスタートを切ることになります。ブログを読むのはやめましょう。ただし当ブログは例外とします。


④ どんな銘柄でもいいから今すぐ株式を買うべし

習うより慣れよ。知っている企業を適当に買ってください。どうせ大した金額じゃないので、損したって知れています。現時点では買った企業の業績など気にする必要はありません。ただ単に、株価の動きに慣れてください。最初は株価が毎日気になって仕方がないでしょう。しばらくすると、株価というものは特に理由もなく上下するものだということがわかってくる。これが実践の第一歩です。どんな時でも精神状態を平静に保つよう意識することは投資においてとりわけ重要で、理論武装もこのためだといっても過言ではありません。ですから、投資初心者が最初に買う銘柄として適しているのは、安定成長株ではなく、不祥事銘柄や景気敏感株です。


⑤ 基礎知識を習得すべし

ここまで来てようやく勉強に取り掛かります。
会計を勉強してください。減価償却費とは何か。バランスシートの左右はそれぞれ何を意味するか。キャッシュフロー計算書はどうやって作られているか。『財務3表一体理解法』という参考書をおすすめします。実を言うと私は読んでないのですが、タイトルからして有用な書物であることが明らかです。
バリュエーション理論を学んでください。特にDCF法には資本コスト、割引率(ついでに複利効果)、簡易キャッシュフロー計算など、投資における必須知識のエッセンスが詰まっています。
重要なのは基礎です。どの教科書にも書いてあるような基礎中の基礎をじっくり勉強するだけで、その後のあらゆる勉強の理解度が飛躍的に高まること請け合いです。



アドバイスは以上です。健闘を祈ります。
ま、私はここに書いたことを一切実践していなかったけど。

2017年4月1日土曜日

マイ・ポートフォリオ(2017年3月末)

年初来リターン (税・配当込み) +5.5%


 大株主のビル・アックマンが白旗を上げて全株売却したバリアントが底なし沼状態に下がり、事業を取り巻く政治的駆け引きに不透明感が増しているPBMのエクスプレス・スクリプツもじり安を続けた一か月だった。
 バリアントの不正を暴き、CYBERDYNE株をUNKO呼ばわりしたことで日本でも有名なシトロン・リサーチに薬価上昇の主犯と名指しされて以来、世論や政治の標的にされているエクスプレス社は「(製薬会社からの)リベートは薬価上昇の原因ではない」と決算の場などで必死にアピールしているが、投資家たちはその必死さを極めて冷徹に見ているようだ。現時点では完全無欠のキャッシュフロー・マシーンである当社の予想PERはわずか9倍強にまで低下した。政治的憎悪は時価総額40ビリオン(4兆6,000億円)の大きな構成要素である当社のリベート・スキームを破壊するのか。製薬会社とPBM間のリベートはシトロンの主張とは異なり実際に薬価引き下げに貢献していると思うものの、同時に批判の通り透明さに欠けそれゆえ利益相反の疑いをもたれやすい取引でもある。したがって、現状を覆っている当社ビジネスモデルへの不透明感が完全に払しょくされることはまずなく、株価の水準訂正を期待すべきではない。株主へのリターンは堅実な業績を叩き出していくしかないのだ。この困難な現状を仮に無傷で乗り越えられるのだとしたら、利益のすべてを自社株買いに回す当社にとってまたとない株価低迷となる可能性がある。
 バリアントは…今後も興味深く監視し続けたいため、塩漬けコース確定だ。

2017年3月26日日曜日

紋切型辞典 -個人投資家の人気ワード-

凄腕投資家
この呼称を堂々と口にできる鈍感な感覚の者のみが栄誉ある称号を授かる資格を得る。凄腕の定義など誰も気にしていないので、深く考えず自信を持って言い切ることが何より重要である。


もっと勉強が必要だ
口にしたが最後、何の役にも立たない方向性の勉強ばかりに時間を浪費してしまう呪いの言葉。


1億円
かつては宝くじの懸賞金を意味していた。懸賞金が引き上げられて宝くじ用語としての使途が減少すると、この金額のキリの良さに株式投資家が目を付け、言語としての"1億円"の価値が復権した。


格言
他人の考えを手っ取り早くインストールする際に役立つ。トイレットペーパーに印字しておくと、毎日の排便時に気が引き締まる。


セミリタイア
いくばくかの資金を貯めて勤め人を辞めること。"セミ"と付いているが昆虫のことではない。単なる"リタイア"だと世捨て人感が際立ってしまうため、英語のwouldやcouldと同様、単語自体に意味はない婉曲表現の役割を担っている。


ストック・ビジネス
和製英語。キャピタル・ストックから継続的な収益が生まれる様から転じて、顧客契約などの無形資産に対してもストックという用語が使われるようになった。まさにストック(株式)から利益を得る投資家がストック・ビジネスに惹かれるのは自然な成り行きだが、昨今は経営者にまでその流行が広がりをみせ、企業のプレゼン資料にも頻出する用語に成長した。


バリュー投資
正確な定義は誰も知らない。グレアム型バリュー投資とバフェット型バリュー投資があり、前者は資産価値からのアプローチ、後者は本源的価値からアプローチから割安と判断される銘柄に投資する手法とされる(棒読み)。ネーミングセンスに欠けるので、大した投資法ではないと思われる。


グロース投資
成長する企業に投資すれば素晴らしいリターンが得られるという信仰。成長それ自体は超過リターンの源泉にならないという一般論は邪教扱いされる。信仰が先鋭化すると、"誰にでもわかるビジネスで誰にでもわかる成長をしている企業に投資すれば報われる"という超理論に発展する。


会社四季報
東洋経済新報社の定期刊行物。分厚いので主に鈍器として使われる。銘柄占いも書いてある。


~投資法
呪術の一種。これで本まで出した祈祷師も複数存在する。


シーゲル派
ジェレミー・シーゲルの著書を曲解し、連続増配する配当貴族銘柄に再投資し続けることを教条とする集団。読解力が不足しているという特徴がある。


免責事項
"この物語はフィクションであり、実在の人物とは関係ありません"
学芸会で出てくると自意識過剰の馬鹿だと思われるのが関の山。
"当ブログ内容は特定銘柄を推奨するものではありません。投資はくれぐれも自己責任でお願いします"
投資ブロガーは自意識過剰の馬鹿なので、これを読んでも読者は何とも思わない。書いた方は一端のブロガー気分に浸れるメリットしかないので使用が推奨される。