2017年9月21日木曜日

内なる投資方針を言語化する

 規則とはその対象が無限の運動であることを抑制するための文化的な装置であり、株式市場は会社法、金商法や証券取引所によって既に規則でがんじがらめにされている。したがって、市場の規則を突き抜けて株式投資を無限の運動にしうる信用取引さえ行わなければ、個人が追加で規則を自らに課す必要性はそれほどない。少なくとも私は今までそうしてきた。
 そして前回、妥当な投資方針の設定がいかに困難であるかを語ったばかりでもある。一体なぜ投資方針などというくだらないものを設定し、従う必要があろうか。

 しかしやはり株式投資ブロガーたるもの、そろそろ方針を明文化して世間の目に晒すというのもいいかもしれないとも特に理由もなく思った。思ったからには実行に移してみたい気になる質である。なに、無理やり捏造するのではなく、すでに無意識のうちに従っている方針を言語化するだけだ。いくつか具体的な数字が出てきて規則のように見えたとしてもそれは錯覚で、お前は今まで通り、思った通り好きに振る舞える。そのために勉強しているのだろう。自分にそう言い聞かせながら、一つ一つ書き起こしてみよう。


【基本姿勢】

・「勝てる手法」「再現可能性のある投資」というフィクションを信じず、柔軟であり続けること。
・謙虚さと野心をバランスよく飼いならすべし。そのための具体的な目標として、インフレ調整後の年率リターン1桁台後半となる投資を意識する。
("インフレ調整後"リターンの正確な計測は必要としない。)
・市場のプライシング能力を侮らず、耳を傾けよ。
・私は米国株投資家ではない。株式投資家だ。


1. 投資対象


1. 原則として株式、もしくは株式を原資産とするETFに投資する。
2. 金融資産の3%をサテライト枠と定義し、1-1項の適用外とする。
(以下"ウェート"という用語は、「銀行預金と証券口座時価評価の合算」と定義される金融資産に占める比率を言う。)


2. アセット・アロケーション方針


1. 必要手元資金以外の現金は全てリスク資産へ振り向けて"よい"ものとする。
 必要手元資金は「(居住費+教育費+150万円)/年×2」と定義する。
(息子二人が大学進学する頃には最大で1,200万円程度の必要手元資金となる可能性を忘れてはならない)

2. 特定銘柄のウェート上限は15%とする

3. 特定業界のウェート上限は20%とする。
(ここで言う"業界"とは、製品ラインナップ、潜在顧客、活動地域、ビジネスモデルが大部分で重複する企業の集合を指す。例えば同じタバコという商材を扱っていても、MOとPMは活動地域が重複しないため、同一業界とはみなさない。)

4. 以下の非選好企業・業界については2-2項および2-3項を適用せず、ウェート上限を3%とする。
 a. 石油関連
 b. 北米リテール
 c. 現金貯め込み型企業


3. 銘柄選定方針


ウェート3%以上の投資に対しては必ず下記の観点を考慮する。

1. ビジネスの質を最重要視する。着目点は二つ。
A. 社会的トレンド
 そのビジネスが伸びるべき社会的なトレンドが確認できるか。
 そしてそれが将来も継続する根拠を簡潔に述べることが出来るか。
B. 参入障壁
 自分が金も能力も人材も無尽蔵に使える起業家だとして、その業界に進出したいと思うか。企業のブランド力を過信するべからず。ネットワークの外部性とコストの低さ、これこそが真の堀であると理解すること。

2. ビジネスの質に難点があるとしても、バリュエーションが十分に低いと思える時は数か月から1年保有を前提として購入対象とする。

2017年9月16日土曜日

投資方針明文化の功罪

 投資方針を明文化することは、時々の感覚に流されがちな自分の行動を律するメリットがある。しかしその投資方針が抽象的なものであれば解釈の余地が入り込んで結局自分を律しきれなかったり、逆にあまりに明確な方針であればスクリーニングに残る投資対象は多様性を欠く結果となるおそれがある。
 そしてもし仮に『個別株投資で長期で市場に打ち勝つことを目指す』という目標を打ち立てているのであれば、自分の定めて従うべき投資方針が、市場にアウトパフォームする根拠を十分に備えているかどうかを事前に検証しなければならない。
 普通に考えてわかるとおり、それは大変難しいことだ。


 例えば次のような投資方針を定めたとしよう。
『過去25年連続増配している配当貴族銘柄10種に均等分散し、月末時価が最も低い銘柄に対して毎月50万円を投入する。』

 一見してそこそこ堅実で妥当な投資方針に思えるが、盲目的に従うにはいくつかの欠点を孕んでいる。
 まず、市場をアウトパフォームするのになぜ配当貴族銘柄でなければならないのか、という視点が完全に欠落しているところだ。当方針の設定者はこう言うだろう。「連続増配株は業績が安定しており、過去のパフォーマンスが良かったのだ」と。だが、その事実は未来のことを何も語っていない。そして、連続増配という事実を過大評価しすぎているという危険も冒している。業績横這いでも配当性向を上げてやれば連続増配は達成可能なのだ。理論的に配当の多寡と株式リターンはまったくの別物ということを忘れてはならない。
 とはいえ配当の源泉が利益であることに間違いはないので、配当貴族は確かに業績が安定しており、長期保有に適している場合が多い。ただ、それゆえ市場から過大評価されているかもしれない。上記の投資方針には購入価格についての指針がない。どのようなバリュエーションでも救われる投資というのは存在しない。
 例えばこの投資方針ではコカ・コーラとP&Gが高い確率で選定されるだろう。選定者は苦し紛れにこう言う。「両社の株価は最近冴えない不人気銘柄なので、長期的なパフォーマンスを押し上げる」と。その認識は明らかに誤っている。両社とも直近業績は目に見えて苦戦しており、それを脱出する明確なソリューションも見えない状況であるが、それでもPERは成長株のような値で市場平均を上回っている。なぜかというと、両社がコカ・コーラとP&Gだからだ。両社は十分人気株であり、冴えない株価は単にEPSが足踏みしているからというだけに過ぎない。人気状態で高止まり、という表現がより実態を表している。生活必需品のような安定した業績の企業はPERによるバリュエーション評価が行いやすいが、だからこそ、高いPERは両社株の投資パフォーマンスを著しく損なうだろう。したがって、今両社に投下される資金は、残念ながら市場を長期的にアンダーパフォームする可能性が極めて高い。

 ただ、上記の問題点も次に述べることに比べると些細なものと言える。
 最大の問題点は『月末時価が最も低い銘柄に対して毎月50万円を投入する。』という部分にある。
 相対的な株価下落率が高かったという理由だけで貴重な新規入金を機械的に投入し続ければ、選定された10社の内たった1社でもそのビジネスが完膚なきまでに破壊された場合、自らの労働が稼ぎ出す将来キャッシュフローが底なし沼の1銘柄と一緒に心中してしまうことになるわけだ。稼ぎが多いものほどこのリスクは甚大なものとなり得る。その意味において、中途半端に10銘柄分散するよりは、1銘柄集中投資の方がババを掴むリスクが減るだけまだ安全かもしれないのである。
 総合すると、市場アウトパフォームに対する理論的裏付けがなく、潜在的なリスクは大きいうえ、機械的に投資するので刺激が少なく頭も使わないこのような投資方針に従うくらいなら、S&P500 ETF一本に毎月資金を投入し続ける方がよほどマシだと言ってほぼ間違いない。

 妥当な投資方針の設定というのはかくも難しい。

 投資方針は、アルファを取りにいくというよりは、リスクを限定するということに集中した方が良い場合が多いように思われる。
 例えば『信用取引はしない』。これも立派な投資方針で、しかもリスクを限定するという点に関して非常に有効だ。あるいは『特定銘柄には1割以上の資金を投入しない』。これもそう。

 しかし投資家とは欲張りなもの。それでも投資方針でアルファを取りに行きたい場合、こんなのはどうだろう。
『最初に選定した生活必需品株が特殊要因排除後の実績PERで16倍を下回っている、あるいはS&P500の実績PERに対して20%以上低い時は、毎月20万円買い増す。』
 購入銘柄とそのバリュエーション、期間分散が方針に全て組み込まれており、なかなか良さそうではないか。もちろん弱点もあって、購入基準を満たす価格まで下がってこない限り、いつまでたっても株式を購入できず、膨大な機会損失を被る羽目になるかもしれないのだ。

 繰り返すが、妥当な投資方針の設定というのはかくも難しい。頑張りましょう。

2017年9月11日月曜日

私と株式投資の出会い

 特に何の教訓も含まれない、ただの思い出話。その筆致は詩的ですらない。

 人間にそれぞれ独自のOSが実装されているとするのなら、私の主要なソースコードは複式簿記、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』、そして蓮實重彦の行が存在感を放っているだろう。いずれも私が世界をどう捉えてどう振る舞うかという点に関して多大な影響を及ぼしている。
 最も偏差値が高いという理由だけで大学進学に法学部を選んだ私は、入学1ヵ月でその学問が自分には致命的に向いていないことを確信した。見切りが早いのが長所の一つだ。その頃、遅れてきたハスミストとして新たな生を受けたばかりの私は長所を生かして早速勉強に見切りをつけ、映画にのめり込んだ。映画と名がつけば国、時代、ジャンル、予算を問わず手当たり次第に観た。平均して1日1本以上のペースで鑑賞していたので、年間400本はこなしていたはずだ。何を得られたか。沢山のことを得た。だが社会的に最もわかりやすい形としては、留年という結果が与えられた。
 親への申し訳なさから一人暮らしを止め、残りの大学生活は実家通いに切り替えることにした。生活圏と人間関係が変わったこともあり、留年時代は朝夕の犬の散歩以外、何もやることがなかった。有り余る時間は映画だけではとても埋めらるものではなく、切実な問題として私は目の前にある膨大な退屈さを処理する必要に迫られた。手元にはそれまでの4年間のアルバイトで貯めてきた50万円があった。これなら噂に聞く株式市場という「ギャンブル場」で遊ぶことが出来そうだ。そう思った。
 2003年、Eトレード証券に口座を開設し、ソニー株を買うことで私は投資家として爆誕した。その頃、銀行株は不良債権処理が進んでバブルの後遺症から立ち直りつつあり、目を疑うほどの急騰を連日にわたって演じていた。こんな大型株が短期間で何倍にもなるなんて株式市場というのは噂に違わず刺激的な場所だという思いを深めたのをよく覚えている。
 投資に関する情報は主にYahoo!掲示板で仕入れた。第一中央汽船が来ます、という匿名の書き込みを見て試しに買ってみると、本当に来てびっくりした。銀行株で一日5,000円のサヤを抜いたことを母親に自慢したりした。買う銘柄は何でもよかった。私はサイコロを振れば得したり損したりする新しいおもちゃに夢中だった。株価は生き物のようで、映画のように面白かった。それ以外の非映画的なもの-それは例えばビジネスモデルだとか、利益だとか-には一切興味が湧かなかった。何故だか知らないが、自分は本質的に芸術家なのだという自負を捨て切れておらず、その自負が純粋な経済活動にのめり込むことをどこかで拒絶していたのではないか。今となっては当時の不可解な行動をそう自己分析するしかない。
 そうこうしている間にあっという間に1年が過ぎ、私は内定企業に無事入社し、そして工場原価に配属された。
 経理! 数字をちまちま計算するあの!
 幸運にも法学と違い、配属後1ヵ月で自分には原価計算が向いていることを確信した。工場近辺の牧歌的な田舎暮らしも同僚とガールフレンドにも恵まれ大変楽しかった。原価計算の魅力を抽象的に表現すると、そこに唯一絶対の正解がなく、創意工夫で同じ事象をいかようにも表現できることだ。一つの事象を多面的に捉え、表現する。自称芸術家にはぴったりの仕事のように思われた。(経理全般を経験した今でも、一番奥が深いのは原価計算だと思っている)。
 しかし原価計算を通じて経理の楽しさを知ったからといって、それが株式投資に活かされることはなかった。私にとって株式市場はそれでもまだ、株価の変動を楽しむ場所でしかなかったのだ。
「株式投資で儲けるなど簡単だ。適当な株を適当に保有しているだけでいいのだから。」確かそんな状態だった。もちろん、自然界の脚本は良くできており、調子に乗った若者にはベストタイミングで挫折の時間がやってくる。みなさんご存知、2008年の金融危機だ。その後のことは以前に書いた。
 こうして私は2009年あたりに改めて株式投資と出会った。
 「当時と比べて成長した。」などと気味の悪いことを主張するつもりはない。今の自分が昔より優れているという考えはひどく傲慢で愚かだ。単に新しい見方を手に入れた。ちょうど、冒頭に挙げた著作に接した後のように。ただそれだけの話。

2017年9月7日木曜日

(事務連絡)ブログ村を脱退しました

やはりシンプルがいいということで再びリンクのないブログへ。
何を目的としているのかよく分からんテキストサイトを邁進します。

2017年9月5日火曜日

ビットコイン 高いか安いか

 単独では利を生み出さないものに対する資本投下を投資と投機どちらと呼ぶのかという極めて文系的な高等遊戯(言葉遊び)に時間を割くことはやめにして、速やかに本題に移りたい。

 ビットコインそれ自体はキャッシュフローを生まない。それはたしかだ。ゆえにDCF法には頼れず、適正価格の理論的拠り所がない、という意見が良く聞かれる。一体この世の誰が金やピカソの絵画やビンテージワインやビットコインに適正価格をつけられるのか。
 そうした声に賛同しつつも、私はこれらの資産に資金を投ずる行為を反投資的と断じて思考停止したくはない。ビットコインの現在の価格の妥当性について考え、何らかの見解を表明することは決して無駄ではないはずだ。たとえ自分が投資することはないとしても。

 結論を提示する前に、その根拠となるファクターを整理していきたい。

[ ビットコインの特徴 ]
分散型ネットワークに依存しており、中央管理者や手数料を抜く胴元はいない。
新規通貨供給は多大な電力を消耗する採掘(マイニング)を通じてしかなされないため、希薄化は限定的。
 (ただし多くの仮想通貨が続々と誕生しており、仮想通貨全体では大規模な希薄化が起きている)
処理速度が遅く、実店舗での支払い手段には向かない。
取引市場はそれなりに発達している。

 さて、ビットコインは通貨なのだろうか。少なくとも各国政府は法定通貨と認めておらず、税制上もそのように取り扱われている。
 しかし通貨とは流通貨幣の略称であり、経済的にはモノやサービスとの交換に用いられるものであれば通貨と定義できる。したがって、利用者が限りなくゼロに近いとはいえ、曲がりなりにも決済手段として使用できるビットコインは紛れもなく通貨だ。なぜ決済手段としてほとんど利用されていないかというと、法定通貨に対する価格変動が激しすぎるので保有自体にリスクを伴うことと、特徴③で述べられた通り、決済の処理速度が遅いからだ。処理の遅さはブロックチェーン技術の構造的な問題によるところが大きいため解決が困難と思われる。私はビットコインが将来的に世界の決済手段の一角を占めるとは全く予想しておらず、だからこそビザとマスターカードに多額の資金を投入しているのだが、同時に以下の理由によりビットコインは本当にごくごくわずかで注意しなければ見えない程度であれば、将来的に決済手段として細々と生き延びるのではないかと考えている。


[ ビットコインが決済手段として細々と生き続けると思う理由 ]
A. 処理速度の遅さは、個人間送金やオンライン決済においては大きなデメリットとはならない。
B. ユニバーサル通貨のためある意味で為替リスクがなく、海外決済におけるメリットとなり得る。
C. 決済手数料がかからない。
D. 現時点で先行するビットコインの一人勝ちが進行することにより他の仮想通貨が廃れ、仮想通貨全体での希薄化問題を克服できる可能性が高い。


 細々と生き続けるの"細々"がどの程度の規模になるのかもちろん想像がつくわけないので、参考までにペイパルとスクエアの2016年度決済額を引用する。

[新興決済企業の年間トランザクション]
 ペイパル : $354bln (39兆円)
 スクエア : $ 50bln  (5.5兆円)

 対して2017年9月4日現在のビットコイン時価総額は $71bln.(7.8兆円) だ。
 (総採掘量16.5百万BTC × @4,300USD)

 通常の通貨であれば年間に数回転するため、決済ボリュームは時価総額の数倍になる。
 そうしたフィルターを通し、決済手段としての価値だけしか考慮に入れなければ、ビットコインは現時点で法外とは言えないまでも過大評価されているように見えなくもない。少なくともスクエアよりは圧倒的に将来性があり、ペイパルよりは少し劣るという前提を置かない限り、8兆円近い時価総額を正当化することは難しそうだ。決済手段としてのビットコインは今のペイパル並みに成長するか。まあ無理なんじゃないかという強い"感想"が頭をよぎる。


 一方、ビットコインは「新規供給が限定的」「ユニバーサルな価値を有している」「取引市場がそれなりに発達している」という特徴から、金に似た性質を持っている。すなわち、価値保存手段としての用途があるというわけだ。
 金の時価総額は? $8,000bln(880兆円)だ!

 この視点からは、ビットコインの価値はあまりにも過小評価されているように見える。なにせビットコインは電子データなので、金のように現物を保管する金庫も必要ない。しかも"おまけ"の機能として実際の決済にも使えるのだ。金の方も"おまけ"として工業用途がある。


 以上を総合して、私はビットコインの主用途を価値保存、おまけとして決済機能を有している電子データとラベリングし、その観点から価格が高騰した現時点においても過小評価されていると結論づける。


 ディスクレーマー:私はビットコインに投資していないし、おそらくこれからも投資しない。

2017年9月1日金曜日

マイ・ポートフォリオ(2017年8月末)

年初来リターン(円建・税・配当込) +0.4%
S&P500(円建) +4.3%
投資元本 28.1百万円

全部売却:Foot Locker(FL)、エスティック(6161)
追加購入:Wyndham Worldwide(WYN)
新規購入:S&P Global(SPGI)


 フットロッカーの手酷い損失によって年初来リターンがS&P500に対して見事に劣後したので、今回は我がポートフォリオに似ていなくもない比較対象として同指数(円換算)を併記することにする。
 以下、FL完全撤退による資金の振り向け先について簡単にコメント。


[ ウィンダム・ワールドワイド(WYN) ]
 保有比率1%未満の位置で様子見の予定だったが、2018年上期スピンオフ計画(ホテルとタイムシェアの事業分離)発表を受けてポジションを上げた。絶対水準としてそこまで魅力的なバリュエーションではないが、スピンオフ企業のパフォーマンスはただでさえ良くなる傾向があるうえ、WYNは他のホテルチェーンやタイムシェア企業と比較してディスカウントされているので、分割後の水準訂正を期待しての購入となる。(スピンオフ企業のパフォーマンスが良い理由は諸説ある。私はコングロマリット・ディスカウントからの解放による影響が大きいと踏んでいる。)
 気を付けなければならないのは税金関係で、分離元の会社の取得コストは変わらず株価は分離した分だけ下がるので含み損となり、割り当てられた分離会社株の取得コストはゼロと評価されるので大きな含み益が認識される。FLの繰越損失を積極的に活用していきたい。


[ S&Pグローバル(SPGI) ]
 新規購入のS&Pグローバル(SPGI)は信用格付けビッグ3の1社だ。(残りの2社はムーディーズ、フィッチ。3社で世界シェアのほぼ全てを支配している。)
 S&Pの場合、レーティングだけではなく、S&P500などの指数ビジネスも伸びている。ムーディーズ(MCO)とどっちを買おうかさんざん迷ってこっちに決めたが、本当にどっちでもよかった。ユルユル裁定取引で検証した通り、中期的なパフォーマンスにも大差ないと思われるため、SPGIのパフォーマンスがMCOを短期的に上回るようであれば、乗り換えも検討する。
 高リスクの仕組み商品に高格付けを出していたことで、金融危機時にこれ以上ないほどの社会的批判に晒されたレーティング・ビジネスだが、稼ぎ頭を仕組み商品向けからコーポレート向けに転換して見事に成長軌道へ戻っている。レーティングが本質的価値を社会に提供しているかという点について、議論するつもりはない。私は投資家なので、危機を見事に乗り越えたビジネスのしぶとさに着目するのみだ。


 少し前に「小売銘柄からは撤退か。ホームデポなどに乗り換えないのか」というご質問を頂いたが、そうです、もう撤退です。